この症例報告は本人の了承を得て記述及び掲載しております。
又、直後効果を具体的に共有するために、患者さんの言葉をそのまま記述しておる症例報告もあります事ご了承ください。

主訴:慢性腰痛
30代男性 
現病歴:座位での仕事が多く、数十年程前より腰痛を自覚するようになった。痛みが慢性化してきたため、整形外科や整骨院、整体院で治療を受けたが改善せず、H28年12月14日に当院を受診し、2週間に1度の頻度で通常の鍼施術を3年弱続けている。直後効果は毎回VAS8→2という状況が続いていた。
(注意:ASP セラピーの施術報告では、施術の緊急性と効果の即効性を重視しているため、効果判定のVAS について最初の痛みを10として記載しています。)
もう少し、施術効果を上げたいと思い、1ヶ月以上前に、耳鍼施術(セイリン社製パイオネクス)を試行したところ効果を認められたが、アレルギー体質により翌日には施術部位かぶれてしまった。
そこで、
ASP-Needleをフランスから取り寄せ、特別にASP耳鍼療法をするという事で輸入の手続きをした。今回本人同意の元、通常の鍼施術の後、ASPセラピー(ASP耳鍼療法)を実施した。

飲酒歴:なし
喫煙歴:なし
既往歴:なし
家族歴:特記事項なし
自覚症状:動作時痛有(どの方向でも痛むが特に前屈した際の痛みが強い)、長時間の着座姿勢で痛みが発生、通常時に安静時痛はない。
他覚所見:SLR(ー)、FNS(-)、ATR(+)、PTR(+)、圧痛部位は通常の鍼治療により消失している。

【施術内容】
両耳介部のThalamus、Cingulate Gyrus付近にある低電気抵抗点をココロケーター(セイリン社製)にて探査し、ASP-Classicを刺鍼(左右2本づつ合計4本)

刺鍼部は添付写真を参照

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【結果】
施術直後、VAS8→2(通常鍼)→1 (ASPセラピー)
尚、患者の感想として「予想してたよりもASPの刺鍼が痛かったが、腰を動かしてみると、まるで関節に油を注いだように滑らかに痛みなく腰が動き驚きました。」とのこと。
1週間経過後、「(残っていたい腰の痛みは)毎日の生活の中で、少しずつ気にならなくなってきた。」とのこと。

【考察】
ASP鍼の利点は、テープなどを使用せず長期間置鍼療法ができる事が上げられる。今回の様にアレルギー体質でテープ類による鍼の固定が出来ない患者に対し、鍼灸院で受ける通常の鍼施術+ASPセラピーを実施することは、効果の付加ならびに持続という点で有効であると考えられる。

先行研究では75~82%のASPセラピー患者に疼痛改善効果がみられるとあるが、今回のケースでも直後効果の付加ならびに効果の持続がみられる結果となった。

今回は特に刺鍼部位を当て推量ではなく、低電気抵抗点を探査した上で決定したため、疼痛時に活動が亢進するとされる脳の視床下部へ、効果的な抑制刺激を加えることができたためではないかと考えられる。

症例報告日:令和元年9月22日
症例報告作成者:松浦哲也