松浦鍼灸院 開院70周年を記念して、襖田和敏博士、米田裕和博士、竹田太郎博士の3名に監修をして頂き、人生で初の書籍である「写真で学ぶ日本の戦場鍼治療2019」を発行する事ができました。
これもひとえにこれもひとえに、あたたかい御支援と御協力を賜った地域の皆様をはじめ、私をご指導下さった諸先輩方、腕を磨くために一緒に切磋琢磨した仲間達、そして、いつも支えてくれた妻、家族のおかげであり、心より感謝の意を申し上げます。
記念誌の内容は初学者向けの鍼灸の施術教本となっております。
「はじめに」を抜粋して掲載しておきますので私の想い理解して頂けると嬉しく思います。

以下引用文
はじめに
「日本の鍼灸はまるで骨董品の様なものだ。必要な人からすればとても価値が高いのだろうけれど、そうでない人からすれば全くの無価値・・・」
ある大学の教授が仰っていた言葉です。
この言葉に衝撃を受けた私は、もっと鍼灸を一般の人に知ってもらいたいと思い、施術を含め様々な啓蒙活動を行ってきましたが、まるで豆腐に鍼を刺すかの如く、まったく手ごたえを感じていませんでした。
そう、それはあたかも骨董品に価値を見い出せない人に、一生懸命その価値を説明し理解してもらおうとするかの如き行いだったからです。
そんな時、NHKのTV番組でBattlefield Acupuncture(以下、BFA)が紹介されました。
BFAはアメリカ空軍が正式に疼痛やPTSDの治療法として採用している方法です。
合理性を尊ぶアメリカ軍隊が正式に採用しているわけですから、理論はともかく、効果に対しては正に「折り紙付き」と言えます。
いいか悪いかは別として、ご承知の通り日本人はアメリカで認められたり、海外から逆輸入されたものに高い価値を見い出す習性があります。従ってこのアメリカ生まれのBFAを上手く日本で普及させることで、従来の鍼灸も骨董品の様なものから、誰もが価値を認めるものへと変貌させる事ができるのではないかと考えました。
これが私が利益の追求を度外視しBFAの普及活動をしている最大の理由です。
一部の名人による日本の伝統鍼灸は継承されるべき貴重なものですが、それを習得するには血の滲むような弛まぬ努力と生まれ持った才能が必要不可欠であり、誰もが習得できる類のものではありません。
不幸にも志半ばでその道を断念する鍼灸師がいることも紛れもない事実です。
しかし、正しく学ぶことが前提ではありますが、比較的短時間の練習で誰もが習得可能なBFAは、初学者でも即効性と一定の再現性をもった施術の提供を可能とします。
もし、全国どこの鍼灸院(施術所)でも一定以上の効果が得られるのであれば、誰もがその価値を認め、もう骨董品の様な扱いを受ける事はなくなるのではないかとの想いから、BFAを誰もが学べる様に日本で最初のBFAの施術解説書を豊富な図解写真付きで作成しました。
私は、初学者にまずBFAを用いた施術で鍼灸の効果を実感してもらいたいと思います。その成功体験が更に自信に繋がり、口コミで患者さんを紹介してもらえる様な良いサイクルが生まれることを期待しています。
そして、いつかBFAによる施術で限界を感じた時、自信と余裕を持って次のステップ(伝統的な鍼灸の習得や継承)に進んでいってもらいたいと考えています。

「鍼灸を通じて地域社会に貢献したい」との想いで、日々精進されている鍼灸師の皆様に、本書が少しでも力になるようであれば、これにすぐる喜びはありません。
松浦 哲也、

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